5月21~22日 今シーズン初の真鯛釣りは知夫里島へ。
今回のメンバーは昨年末に隠岐の島デビューしたS君。
真鯛記録(93.7cm,11.8kg)を持つN君。
そして、ある時は真鯛の天敵と恐れられ、狙った獲物は必ず奪い取る
磯の海賊ジャック・スパロウこと私。
この3名の精鋭で、真鯛を狙い隠岐の島へ、いざ出陣。
今回は北東の風、やや強く。
安全な釣行を考え、知夫里島へ向かう。
朝9時30分発のフェリーに乗り込む。
船内ではビールと弁当、そして仲間と大漁するであろう妄想話の雑談。
わずか2時間の船旅、何とも言えないこのひと時が私は好きだ。
そろそろ到着時刻、港が見えて来た。
いつも忘れてしまう大切な儀式をしなくては。
色白の私、釣りに行くとポストの様に真っ赤っか。
あまりにも見てくれが悪いので、少し対策を。
洗面所に行き、強力日焼け止めクリームをたっぷりと。
首回り、よく忘れる耳も。
2回も厚塗り、歌舞伎役者の様、眉毛も真っ白。
客室に戻る私、途中かなりの視線を感じた。
釣友「わっ!げっ!白!きも.......」
皮膚の色を白くし、世間から冷たい目で見られた
「マイケル・ジャクソン」
お前の気持ちがわかるぜ。
11時30分 知夫来居港着。
渡船は船長の都合で20分程遅れ、他に2名が出船を待っていた。
声をかけると、愛知と静岡からのふたり連れ、60代半ばかな?
丁寧に話をされる感じの良いご両人。
少し前、男女群島に遠征した際、島根の人から隠岐で真鯛が
爆釣していると聞き、我慢出来ずに遠路はるばるやって来た。
昨日から3泊4日の予定、場合よっては延長するかも。
男女遠征、隠岐遠征、時間とお金にゆとりのある生活、うらやましい。
昨夜、夜釣りをし、朝から民宿で仮眠、そして今から第2ラウンド。
釣果を聞いてみると、船のデッキを指差された。
そこには五つの大型クーラーが。
「何も入ってないよ。満タンになるのは、いつのことやら」
12時前、船長登場。
挨拶をし、最近の釣果を聞く。
今日の釣場は、船長オススメのスンズに決定。
12時20分、磯へ船付け。
遠征組の二人に手伝ってもらい、荷物を降ろす。
「ありがとうございます。お互い大漁だといいですね」
風は背中から、波は無し、真鯛釣りには絶好のコンディション。
仕掛けを作る前に、恒例の御神酒、今回はちょっと高級酒を。
実は、私ジャック・カトウ・スパロウは、隠岐真鯛釣行で3連続坊主の
大スランプ(本当はこれが実力)
悲劇の場所は、年末に行った海士松島、知夫オオエ
初夏の西ノ島大神立岩。
隠岐 島前 三島、全て坊主制覇。
特に大神立岩の時は、魚と名のつく物は1匹も釣れない完全坊主。
ある人曰く、隠岐では針にエサが無くても何かは釣れると。
今思い返せば、針を付けて無かったかもしれない。
そんな訳で、御神酒はケチらず、ここ一番の神頼み。
そう言えば、松島の坊主はS君と。
オオエは、ここ知夫里島。
大神立岩はN君との釣行だった。
もしかすると、最悪のメンバーと最悪の場所に来てしまったかも。
いやな予感が当たらぬと良いが......
釣り開始前に腹ごしらえ。
今回、夕飯の弁当を頼んであるのを忘れて
食料を買いすぎてしまった。
おにぎり4個、すし弁当、ざるそば弁当、カップ麺、冷凍チャンポン
ワンカップ4本、チューハイ2本、ビール2本、ハイボール2本。
つまみに焼き鳥、缶詰、天ぷら
魚肉ソーセージ(もちろん、ニッスイ)5本。
食べ物が無くなると夜釣りは寂しい、まあ良いか。
いつも、隠岐に行くと太って帰る、いわゆる釣り太り。
今回も、間違いなくプラス1.0kg以上だな。
13時過ぎ、第一投。
昼の仕掛けはタルカゴ3点。
いつも、数投の間はサシエサが残るが
今回は一投目からエサ取りのエジキ。
投入30秒後には、すでにカラ針。
本命の当たりが無いまま、退屈な時間が過ぎて行く。
突然、少し離れて竿を出していたN君が叫ぶ。
急いで駆け寄ると
「ほんの足下に大鯛が浮いて来た、デカかった~」興奮冷めやらぬ様子。
隠岐ではたまにある出来事、特に7月に多い。
実際にその場に出くわしたのは、初めてだ。
しばらく餌を撒き、3人で観察「出て来い、出て来い、出て来い」
予想通り、再び姿を現す事はなかった。
それでも、鯛はいるぞ。気力が蘇る。
またまた気力が低下してきた頃、N君に小鯛が一枚。
「さあ、時合いが来たぞ」
それだけだった。
17時 船が弁当配達。
卵焼き1切、塩サバ1切、餃子1コ、野菜炒め少々、手羽カラ1コ。
以前より内容が落ちたな~、お茶が入ったポットも無かったし。
でも温かいごはんが、なにより一番のごちそうだ。
日が傾き、いよいよ夜釣り本番。
仕掛けは真鯛針15号、ハリス10号。
「小さな魚は食い付かなくても良し、狙いは大鯛、1mオーバーだ」
男だねぇ~、カッコいいわ、自分に惚れてしまった。
隣のS君、ウキにじんわりとした当たり。
40cm弱のアジ、何とも美味しそうな魚体。
その後も35~40cmのアジ、イサキを数匹、追加。
私、ウキに、ちょこちょこ反応は有るが乗らない。
「針を小さくしようかな」大物釣り師ならぬ考えが頭をよぎる。
しばらくすると待望の当たり、でも鯛じゃない。
上がって来たのは30cm強のメバル、本命ではないが
魚の顔が見れて、ちょっと安心。
次の当たりも道糸が走らない。
合わせを入れてリールを巻く、コンコンとした真鯛特有の
引きではないが力強い。
ついに本命かな「タモよろしく」
すくってもらったのは、アジのスレ背掛かり。
しばらく、真鯛と縁のない私、アジと間違えるなんて。
22日0時 潮も止まり、サシエも残ったまま。
あくびが止まらない、横になる。
今日も星がきれいだ。
前回釣行時の夜空は冬の星座、主役はオリオン。
今回は夏の星座に衣替え、さそり座の出番。
2時 起床。
横になったまま、状況を聞く。
「どう、釣れた?」
「全然だめ。潮も動かず、エサも残りっ放し、生体反応なし」
全員で夜食タイム。
隠岐に関わらず磯の通し釣り、もちろん魚釣りがメインだが
キャンプの様にワイワイ飲み食いするのも、また楽しみである。
冷凍チャンポンが出来るまで、ワンカップに焼鳥、魚肉ソーセージ。
深夜の磯での食事、何を食べても美味しいのだが
今回のチャンポン、う〜ん、次回はパスだな。
再開後、当たりの無いまま、空が白々として来た。
朝まずめのゴールデンタイム、大鯛タイムが、さあ来たよ。
完全に明るくなった5時。
S君のウキが入り、フリーにしていた道糸が走る。
ひと呼吸置き、大きく合わせる。
竿が大きくしなり、ゴンゴンとたたく。
間違いない、真鯛だ、それも大きいぞ。
手前まで寄せてくると、動かなくなった。
どうやら手前の瀬に入ったようだ。
道糸を緩め、魚が出てくるのを待つ。
しばらくしても出てこない、少し引っ張ってみると
ゴソゴソと反応がある、どうやらカゴが引っ掛かっている。
一か八か、思いっきり引っ張ると、道糸が高切れ。
「あぁ~、貴重な一匹が~」
すぐさま仕掛けを作り直し、再投入するも、以降当たり無し。
S君、残念。
7時 エサ取りが出て来たのと、体力、気力の限界で
私は真鯛釣り納竿。
暇つぶしに、ボッカ釣り。
自慢じゃないが、ボッカ釣りは下手くそだ。
まずどこを狙えばよいのか、サッパリ分からない。
いつも私の探った後から、上手な人は釣り上げる。
さすがに隠岐は入れ食いだろうと思ったが、やはりダメ。
たった2匹、それも小物。
渡船の迎えは9時、納竿は8時30分。
残り1時間を切った頃、N君に当たり。
針外れでバラしたらしく、悔しがっていた。
このN君、数年前に残り時間10分で、87cmの大鯛を釣り上げた。
それまで、一晩中当たりなし、残り数分の逆転満塁ホームラン。
粘りの釣り師も今日はタイムアウト、本命は小型1枚に終わる。
9時過ぎ 渡船に乗り込む。
すぐさま、船長に釣果報告。
貧果に、「すみませんね」と謝られたが、船長のせいじゃない。
魚釣りに不漁は付き物、というかいつもの事で慣れた。
次回のリベンジを誓う。
来居港にて、荷物を整理しフェリーを待つ。
待ち時間が1時間以上、S君は岸壁でアジング。
隠岐のアジ、ワームは刺激的すぎたのか、寄り付かない。
真鯛に続き、これまたボーズ。
次は何をしよう、よし何か食べよう。
魚なんて釣れなくても良いじゃないか、満腹ならば。
胃袋が満たされると、幸せになれる。
てな訳で、岸壁で湯を沸かし、カップ麺。
「あ~幸せ、楽しい2日間だったなぁ」
11時 フェリーに乗り込み、後は爆睡。
13時10分 境港着。
家に帰り、シャワーを浴びて、人間に戻った。
さっぱりとし、今回の釣りを振り返る。
頭に浮かぶ「遠征のおじさん達、釣れたかな~」
「いつ帰るのだろう、タフだな」
そして、重大なことに気づいた。
21日朝、出発前に皆で金環日食を見ていた。
「おぉ~すげ~、結構欠けるな」
「夕方みたいに暗くなったな~」
この時は、世紀の天体ショーと喜んでいたが
実はこれがいけなかった。
太陽の異変に真鯛が驚き、隠れてしまったのだ。
多分そうだ、いや間違いない。
さすがの精鋭達も、太陽系惑星の妨害には
為す術もなく打ちのめされてしまった。
金星が相手じゃ、坊主もしょうがないね。そうだ、そうだ。
今回の隠岐釣行、周囲の絶大なる期待に反し、またまたやっちまった。
そろそろ、貧果脱出の対策を考えねば。
次は気分一新、メンバーを変えようか。
J.スパロウの相手と言えば、やはりペネロペ・クルス。
いいね、彼女みたいな娘と隠岐に行きたい。
夜、肩を並べて星を見る。
右手には、湯煎したワンカップ。
左手には、ニッスイの魚肉ソーセージ。
スペシャル メニューに「亀の手」を取りその場で湯がく。
そんな物、食べた事の無い彼女は、きっと喜んでくれるだろう。
そこで一言「ペネロペ、ワイルドだろ〜」
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」が新たな敵と戦い、延々と
続くように、 釣り師ジャック・カトウ・スパロウも
アホな妄想に浸りながら、 さらなる大鯛との戦いを続けるのであった。
FINE