昨年末に計画していた隠岐釣行は悪天候で中止、1月8日に再チャレンジ。
釣行先は赤灘方面を考えていたが、渡船の都合が悪く釣行不可。
ならば海士へ、崎野船長に電話で予約。
前日の天気予報、北西風が強く北のウネリ。
よくよく考え、行き先を知夫に再変更、安全第一。
幸希丸船長に連絡、希望場所を伝える。
「そこなら朝まで大丈夫でしょう」
やっと行先が決まった。
「8日は昼に体が空かないので、夕方着のフェリーで来て下さい」
出来れば、朝の便で行きたかったが仕方が無い。
今回の同行者はS君、彼とは3回目の隠岐釣行だ。
8日朝9時 S君、早々とやって来る。
フェリーは14時10分発、余りにも早すぎる。
「今からパチンコで釣行代を稼いでくるけん」
アホだなぁ~、高い釣りになぁ~で。
12時過ぎ S君再登場、さも当たり前のように「5万チョイ勝ったわ」
「まだ出たけど、やめといた、引き際が肝心」
さすがだギャンブラーや、え〜がな、え〜がな。
「よっしゃ、行きのフェリーは特別室だ」と思ったが
真鯛80cmオーバーを釣った時のご褒美、帰りの便にとっといた。
13時30分 途中で食料を仕入れ、境港フェリー乗り場へ。
乗船口で荷物を降ろしていると、崎野船長の車が。
「何しとんの、こんな所で、俺達の見送り?」
「お客さんに頼まれ、七類まで送迎です」
フェリーから釣人が降りてくる。クーラーを見て驚いた。
手なしイカでクーラー満杯、100杯釣ったと。
しまったな、イカの道具を持って来てないや。
14時10分 境港出港
夜釣りに備えて仮眠、1時間程で目が覚める。
客室の隣には、ビジネススーツの若い女性2人組。
ひとりがMacBook Air11とiPhone5を取り出し、テザリング。
オシャレだね、絵になるわ。
同じAppleユーザーとして、声を掛けたくなったが
どこから見ても、寝ぼけ顏の変態オヤジ風なのでやめといた。
16時35分 来居港着。
渡船は既に岸壁で待機。
船長に新年の挨拶、そして近況を聞く。
「11月から時化っぱなしで釣りにならず。漁師は大鯛獲っとるけどねぇ」
当初の予定通り、神島へ向かう。
海上は北西の微風、波も1mくらい。
今なら、どこでも釣りができる。
さて、何時頃から荒れてくるやら。
神島東に船付け、荷物を降ろす。
食料がたっぷり入ったクーラーが重い。
帰りはもっと重くなるはず‥‥たぶん?
日没が近いので、急いで仕掛けを準備。
夜中に荒れて来るのを想定し、釣り座を決める。
釣りを始める前に、いつもの御神酒を。
このところ御利益が無いので、今回は88円の安酒で。
年初なので、たっぷりとお願いをしといた。
たまには良い思いをさせて下さい。さもないと次からは酒無し、水だ。
17時過ぎ 釣り開始。
すぐに周囲が暗くなり、ウキに明かりをつける。
18時過ぎ、S君にあたり「この引き、多分、鯛だわ」
水面には青白い魚体。
貴重な一匹目なので、慎重にタモ入れ。50cm弱の綺麗な真鯛だ。
「時合いだぞ、次は大鯛が来るぞ」
19時 夕飯をまだ食べていないので、腹が減った。
コンロで温かい食事を作りたいが、潮もいい感じで流れている。
釣りながら、おにぎりで我慢だ。
セロハンの真ん中を回し取り、両角を引っ張ると海苔が被さるやつ。
しまった。海苔を引っ張り破れてしまった。
悪い事に、ご飯の部分が落ちた。それも水溜りに。
なんだかいな、最悪だ。岩の上なら食べたのに。
ちくしょう、一番好きなシャケおにぎりが。
失意のまま、高菜おにぎり、今度は慎重に。
海面を見ると、ウキが無い。
おいおい、今度は根掛かりかよ。勘弁してよ。
リールを巻くとコンコン、コンコン、竿を叩く。
アレ?これは遠い昔に経験した、真鯛の当りかも?
逃がしちゃいけない、慎重に慎重に。S君にすくってもらう。
これまた同じ位の真鯛だ。
美しい。自分が釣ると特に綺麗に見える、輝いている。
君に名前を付けよう。「黄金1号」と。
21時過ぎ 黄金2,3号を追加。
潮も止まったので、食事休憩。
本日のディナー、食前酒に燗酒、前菜はチーズ蒲鉾とチョコレート
メインディッシュはキンレイの冷凍チャンポン、おにぎり、焼酎湯割。
チャンポン、一口食べてダメだ、まずい。
買う時に迷った、ニッスイにしとくんだった。失敗した。
S君もキンレイの鍋焼きうどん。やはり、吠えていた。
22時 釣り再開。
北西風が強くなり、周り風が当たる。
アルコールで暖まった体から熱を奪い取る。
ジャケットを着込むが、腹周りが苦しい。
そろそろウェアの買い替え時だ。
ぼんやりとウキを見ていると、何やら気配が。
もしや‥‥予感は当たった。ネズミだ。
6,7年前、ここ神島に来た時、ネズミの大群に遭遇した。
それも数百匹、大きいのは信じられない大きさ、子猫ぐらいあった。
油断をするとエサバッカンに入ってくる。
少し離れた岩場をライトで照らすと、ライトに光る無数の目。
映画「ウイラード」の世界。
このまま寝たら、アーネスト・ボーグナインの様に食い殺されると思い
怖くて横になれなかった。
その後、釣行された人から「ネズミは居なくなったよ」と聞いていたのに。
しばらく観察していると数は非常に少ない。
大きさは、やはりデカイのがいる。
S君もびっくり「あんなデカイの初めて見た」
時々、ちょろっと出て来るくらいなので気にはならない。
気持ちは悪いが、釣り続行。
S君に当たり、今までとは違う引き、35cmのアジだ。
美味しそうだ、この大きさならイイね。
しかしその後は、25cmのエサ取りアジに。
23時30分 潮も止まり、睡魔が襲って来た。
もう少し頑張ろうと思ったがもうダメ、シートにくるまって寝る事に。
寒さとネズミが気になり熟睡できない、30~40分ごとに目が覚める。
9日 2時30分 時計のアラームで起きる。
竿を振る前に、まずは夜食。
メニューはパックに入ったおでん。
鍋に移し、グツグツ煮込む。
「熱々で、うんめ~」
家で食べたらマズイのに、磯ではミシュラン級だ。
辛子があったら、星もう一つ。
S君にも好評「俺も今度買うわ」
3時15分 腹もパンパン体ホカホカ、釣り再開。
潮もゆっくりだが動いている。ネズミの姿も無い。
風は周り風、寒さは感じるが釣りに支障はない。
雲がかかったり、晴れたり。
S君「オリオン座が綺麗だな~」
容姿に似合わぬ言葉、ロマンチックなギャンブラーだ。
東の空がだんだん明るく。
振り続けたが、大鯛とは縁がなかった。
振り続けたが、大鯛とは縁がなかった。
小鯛を数匹追加して終わり。
7時20分 納竿。荷物の片付け、ゴミ拾い。
8時過ぎ 迎えの渡船に。
船長に釣果報告「二人で小鯛が8枚でした」
それと、ネズミの話を。
8時30分 来居港に戻る
船長に渡船代を払い、御礼、そして「次は春に来ます」
岸壁で着替え、釣人から一般人へ変身。
スパイクブーツを脱ぐ「あ~気持ちがええな。解放されるわ」
S君「まだ、うどんがありますよ。食べましょう」
フェリーターミナルの風裏で冷凍うどんを作る。
キンレイのカレーうどんと肉うどん、どうかな?
「これもありますよ」出てきたのはニッスイ魚肉ソーセージ。
それもジャンボサイズだ。
うぉ~、すげぇ~、こんなのあるんだ。
やっぱ魚肉ソーセージはニッスイのもんだわ。
カレーうどん、肉うどん、二人で交互に味見。
肉うどん、これはいけるな。意見が一致。
カレーうどん、これはいかん。これまた意見が一致。
少し甘みのある和風出汁、これがカレーうどん。
キンレイはスパイスの効いたルー、これじゃだめだよ。
10時55分 来居港発、境港へ
フェリーの座席は二等、特別室は次回に持ち越し。
乗船と同時に爆睡。目が覚めるといつの間にか境港。
13時30分 境港着 荷物を車に積み込み、我が家へ。
今回の釣行、良型の真鯛が出なくて、S君は少しガッカリ。
自称大鯛釣り名人の私、人には言えないが久々の真鯛。
自称大鯛釣り名人の私、人には言えないが久々の真鯛。
「こんな大きさじゃ、やってられね~よ」と言いながら、実は嬉しい。
年始早々、いい感じ。今年は名人、復活だ。
自然の中で過ごす二日間、楽しかった。
電気、水道無し、不便で質素な食事、これがまた美味い。
屋根無い、壁無い、ゴツゴツした岩場、星空下の野宿。
半径数キロ内にいるのは、ギャンブラーとネズミだけ。
人が持つ野生の本能が刺激されるのか。
釣果は今一つでも、何とも言えぬ満足感がある。
家に帰ってしばらくすると、いつも思う。
今度は、いつ行こうかな。
天候は厳しいけれど、まだまだ鯛は釣れる。
凪の日に当たれば、大鯛の期待は大だ。
過去、2月10日に3人で、40cm以上の真鯛54匹の実績がある。
過去、2月10日に3人で、40cm以上の真鯛54匹の実績がある。
私の次は、春の乗っ込みかな。
隠岐の大鯛よ、今のうちだぜ、のんびりと泳いでいるのも。
春になったら、気をつけな。ヤツが来るぜ。
復活した、ジャック・スパロウ・カトウが。